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TIME TO REST IN THE LAND

TIME TO REST IN THE LAND

祈りとは、静かに耳を澄ますことかもしれません ー。

本インスタレーションでは、ひとつの山を横断するサイン計画から、楽曲のパフォーマンスとして立ち上がる舞台まで、山全体をひとつの体験空間として設計しました。
その基盤となるのは、香りによって紡がれたナラティブとコンセプトです。

山頂の中央に据えられた円環の構造体は、空白や沈黙を受け入れる「無が在る」ことの象徴として設えられました。それは beatfic_experiment が構想する「新しいカタチ」を体現すると同時に、来場者が憩い、自然との対話を始めるための場でもあります。

頂上へと向かうエントランスや導線上のサイン、そして円環の中心には「土」が展示されました。この土は、福島で採集・蒸留されたニオイコブシの精油を軸に、周辺の植生リサーチをもとに選定した約15種の天然精油を用いて特別に調香したフレグランスと、山頂に立つ赤松の大木を長年支えてきた実際の土をブレンドし、「土のかたちをしたポプリ」として制作されたものです。

赤松やヨモギ、鎮静や浄化を象徴するセージなど、身近でありながら記憶に深く触れる植物の香りは、この土地と人をつなぐ媒介として機能します。目には見えない香りを通して、場所と時間、自然と人とのあいだに、静かなコミュニケーションが立ち上がります。

本展の重要な軸となったのが、音楽家・篠田ミルによるラジオを用いたサウンドインスタレーション Tuning for pray です。
散在するラジオを来場者自身が手に取り、チューニングすることで楽曲が立ち上がるこの作品は、空間全体を貫き、身体感覚・感情・記憶が交差する体験を生み出しました。

人々は地面や円環に腰を下ろし、ラジオから流れる音、自然の音、そして香りに耳を澄ませます。そこに生まれた静けさは、この場所ならではの、忘れがたい風景となりました。

パフォーマンスは夜明けとともに終わりを告げ、山の向こうから昇る朝日は、新たな一日の始まりを祝福するかのようでした。

 

TIME TO REST IN THE LAND

風に触れ、香りを聴く。
還すこと、受け取ること。

この静かな行為から、空間は生まれようとしています。
それぞれの中にある「祈り」に、そっと触れることができるかもしれません。

── あなたは、土と話したことがありますか?