「 CONCRETE LABORATORY 」
今回のインスタレーションでは、プロジェクトが始動してから現在までの約1年半の間にAhare Space Projectが独自に研究を重ねた香感覚の為のリサーチ、風を可視化する立体・空間への追及、自然との繋がりを試みた実験。
そして、初の映像作品『Being with the wind』を公開しました。
私たちは、環境や体験を深めるフレグラント要素を、「あなた自身の宇宙」にあるインスピレーションへとアクセスするための鍵だと捉えています。香りという抽象的なイメージの等価物を生成する試みは、オートマティスム的な感覚の連鎖から生まれる、インターメディアなプロセスを透過したひとつの行為です。
折々の場に生まれる香りは、イメージと哲学を創造し、そこに目には見えない“香りのコミュニティ”が立ち上がることで、私たちはそれを「新たな建築」と仮定しています。
今回のナラティブ設計においてインスピレーションとなったのは、日本のモダニズム詩人・北園克衛の詩的実践です。1950年代、コンクリート・ポエトリー(言葉の視覚性や物質性に着目した実験詩)が国際的に広まるなか、彼は新聞紙、石、粘土、紐など身近な素材を台紙に配置した「プラスティック・ポエム」を“詩そのもの”と呼びました。
私たちが手がけるフレグランスデザインは、さまざまな角度からのアプローチ、人々との関わり、自然の恵みから生まれます。
フレグランスデザインも絵を描くように、名付けられた瞬間に必ず完成の瞬間を迎え、詩的な美しさに満ちています。北園が「詩」と表現したように、私たちは「香り」を、空間を織り上げる建築素材として捉えています。
この「コンクリート・ラボラトリー」展は、私たちの姿勢を伝え、香りのデザインが生まれる美しい瞬間を共有できたのではないかと思います。
「0」に込められた香り、香建築の物語をご体感いただけたのではないかと思います。
